日本人独自の美意識が詰まった和食器には、
専門用語といわれるようなものがいくつもあります。
そんな用語の中から、
特によく使われると思われるものを集めてみました。
ことばを知ることは、世界を広げてくれること。
この用語集から、和食器への親しみが少しでも増せば、
これに勝る喜びはありません。
写真は、すべてじろやのうつわから。
か行
灰釉[かいゆう・はいゆう]
木や草など天然灰を原料にした釉。
片口[かたくち]
うつわの縁の片方に注ぎ口がついているもの。
窯もの[かまもの]
窯を所有する代表者である窯元(かまもと)がプロデュースしたうつわ。製作者は窯に所属する職人たち。分業制などにより、ある程度の数を量産することができる。
貫入[かんにゅう]
釉表面のひび。釉を使ったときにできる。やきものの景色の一つ。使い込むうちに味わいが出てくる。意図的に演出することも多い。陶器など土ものに多く見られる。
素地[きじ]
和食器は、大別して粘土もしくは磁土から作られている。粘土を原料とするものを陶器。磁土を原料とするものを磁器という。そのためやきもの素地とは粘土もしくは磁土を指す。
景色[けしき]
一般的に、やきものの表面に現れた偶然の変化を指す。人間の技術や作為が介入できない、人為を超える自然現象によって生まれたもの。やきものの見所の一つ。例えば、火色、コゲ、灰被り、ビードロ釉、石ハゼなどなど。
化粧掛け[けしょうがけ]
素地に別の土を薄くかけたりして、うつわの表面を装飾し、美しくみせる手法。白化粧が多い。
化粧土[けしょうど]
化粧掛け(けしょうがけ)に用いる土。粘土を水に溶かした泥。一般的に白泥(はくでい)が多い。
口縁[こうえん]
つわの縁(ふち)のこと。口造り(くちづくり)ともいう。
高台[こうだい]
うつわの底についている台のこと。成形のとき、ろくろとうつわを切り離すのに糸を使うため、糸底(いとぞこ)ともいう。
高台皿
[こうだいざら]
高台が高い皿。足がついている皿を指す。
五 彩[ごさい]
一般的に、緑、紫、黄、紺青、赤のこと。九谷焼は、古九谷の時代から、この5つの色を用いて描かれてきた。
腰[こし]
うつわの外側、胴の下を腰という。「腰の張った」などと使われることが多い。
呉須[ごす]
一般的に、染付に使われる絵具を指す。酸化コバルト。釉薬を施して焼成すると藍色に発色する。るり釉の原料でもある。⇒能登呉須(のとごす)。
古染付[こそめつけ]
中国明代末期に景徳鎮民窯で焼かれた染付を指す。味わい深く、茶人に好まれたという。この時代の染付の風情を手本にする陶芸家は多い。
骨描き[こつがき]
上絵付けの線描きのこと。染付呉須(酸化コバルト)ではなく、能登呉須(のとごす・酸化マンガン)を用いて描く。骨描きの上に色絵具をのせることで透明感が強調される。
粉引[こひき]
褐色の素地に白泥を化粧掛けし、さらに釉薬をかけると、白く粉を引いたような仕上がりになる。白に独特の柔らかさと温かさがあり、使うほどに味わいが深くなる。
参考文献:石川新情報書府/デジタルアーカイブ(2008石川県)、いまどき和の器(2007高橋書店)オレンジページブックス「和」の食 Vol.4(2006オレンジページ)、家庭画報特選「和の器」(2007世界文化社)、暮らしと器(2005山口泰子 六耀社)、広辞苑第四版(1993新村出 岩波書店)
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